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Vol.13 大学教授による物理の特別講座を実施

「見えない世界を、見てみよう」

〜東京学芸大学 小林晋平教授 特別講演〜

本日、東京学芸大学の小林晋平教授をお招きし、特別講演が行われました。テーマは「電気と磁気」、そして「見えないものを見る方法」。1年生を対象に、科学の奥深さと面白さを体感する時間となりました。

講演の冒頭、小林先生は「ものの見方で世界が変わる」というメッセージを、シミュラクラ現象(※三つの点が顔に見える錯覚)を例に紹介。さらに、偏光板を使った“壁がないのにあるように見えるおもちゃ”を使って、「私たちが見ている世界がすべてではない」ことを分かりやすく示してくれました。

このおもちゃを手に取った生徒たちは、「どうして壁があるように見えるの?」「色を変えるとどうなる?」と、自然に議論を始め、自分の手で触れて確かめながら試行錯誤を重ねていました。“考える”だけでなく、“いじって考える”という学びの楽しさを味わっていたようです。

面白がる力を育てることが大切と語る小林教授

生徒からの発言が多く、挙手が絶えません

続く講演では、電気や磁気といった「目に見えない力」をどう可視化できるか、実験を交えながら紹介されました。

  • 静電気によって物体が浮遊する実験

  • シャープペンシルの芯に電気を流して赤く発光させる実験

  • 磁性流体の不思議な動きの観察

こうした体験を通じて、生徒たちは科学の“見えない世界”に少しずつアクセスしていきました。

磁性流体で可視化した磁力を観察しました

講座終了後、教室にこんな感想が残されていました

講演の最後、小林先生は「なぜ勉強するのか?」という問いを投げかけます。

「世界は、自分が思っている以上に広く、深く広がっている。『ああ、こんなものか』と自分で限界を決めてしまえば、それ以上世界は広がらない。想像できない、未知の世界がきっとある。だからこそ、学び続けてほしい」

受験という大きな山を越えたばかりで、次の目標を模索している1年生にとって、この言葉は胸に響いたようです。講演中の教室には、真剣なまなざしと熱のこもった空気が広がっていました。

講演終了後も、会場に残って質問をする生徒が後を絶ちませんでした。
「ブラックホールって、宇宙に何個あるんですか?」
そんな問いにも、小林先生はにこやかに耳を傾けてくださり、知的好奇心がどんどん広がっていく様子が印象的でした。

あっという間の1時間。今日の講演は、生徒たちにとって“世界の見方”が少し変わる、そんな貴重な機会となりました。

講演者 小林晋平 教授 (宇宙物理学者)

東京学芸大学教育学部物理科学分野 教授。
慶應義塾大学自然科学研究教育センター協力研究員。
学校法人開智学園理科教育顧問。
京都大学理学部卒業。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。
博士(人間・環境学) 。専門は宇宙物理学および物理教育。
一般向けの科学イベントや講演会での講師を多数務め、
2025年7月から始まるEテレ「3ヶ月でマスターする
アインシュタイン」の講師として全12回の出演決定。