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Vol.114 社会科特別授業を行いました

2026年3月11日――東日本大震災から15年。

社会科では震災をテーマに、特別授業「『あの日』と、『明日』のあいだ。」を行いました。

■ 遺構が突きつける「現実」

授業の冒頭、教員が東北で記録してきた震災遺構の写真や映像を提示しました。
『あの日』を知らない生徒たちにとって、それは知識としての「災害」が、手触りのある「現実」へと変わる瞬間でした。

しかし、ただ悲劇をなぞるだけではありません。 「もし今、ここで地震や津波に出くわしたら、あなたはどう動くか?」 具体的なシチュエーションを想定し、自分たちの命をどう守るか、そして自分たちに何ができるのか。リアルな危機感を共有し、話し合いました。

命をどう守るか、具体的に考えます

実際の津波の高さから、想像を広げます

■ 「風化」の再定義

砂時計モデルを用い、糸が重なる様子で「風化」の本質を捉えます。

15年の歳月の中で起こる「風化」とは、単なる忘却ではありません。懸命に生きる人々が持つ震災の記憶との摩擦、葛藤が生じることを表しています。

価値観の変化を可視化した「3.11砂時計モデル」

震災から15年、自分にできることは…

■ 究極の問い:「なぜ、助からなくてはならないのか」

災害時には、「自分で考え、判断し、動く」こと。その思考の差が、生死を分かつことを共有しました。

しかし、極限の恐怖の中で、人は足がすくみ、動けなくなることがあります。

そこで私たちは、もう一歩踏み込んだ問いを立てました。
「なぜ、あなたは助からなくてはならないのか」。

自分が助かることで、いつか誰かを助ける手になれる。生き延びることで、未来の復興を担う力になれる。
「自分が助かることが、未来の誰かを救う」という視点。その「目的」こそが、恐怖の中で一歩前へ踏み出すためのエネルギーになるのです。

■ おわりに

授業後、生徒からはさまざまな感想を聞くことができました。

・非常時にも「自分だけでも助かれば良い、生き残れれば自分たちが引っ張る。」ということを大事にしたい。

・亡くなった方々の思いを次の世代に引き継いでいくことが本当に重要なことだと知ることができた。

・震災のトラウマは時に人の心を傷つけ、時には人を成長させるのだなと思った。

 

「なぜ、助からなくてはならないのか。」

震災を知らない世代の生徒たちが、その問いに対して出した答えは、単なる自己防衛を超え、次の誰かを守るという責任に満ちていました。この授業で芽生えた「生き抜くための覚悟」が、まだ見ぬ誰かの命を救う確かな盾になると信じています。